シャトー・ムートン・ロートシルト について
1855年に制定されたメドック格付けの中で、唯一その格付けに変化をもたらしたのが、他でもない、このシャトー・ムートン・ロートシルトです。制定当初、ムートンは第2級に格付けされました。そこから118年後の1973年、4世代の交代を経て努力の末に見事第1級の座に登り詰めたのです。『われ一級になりぬ、かつて二級なりき、されどムートンは昔も今も変わらず』という言葉は、昇格当時、フィリップ男爵が残した言葉として今もなお語り継がれています。
シャトー・ムートン・ロートシルトと言えば、だれもがその象徴となっているアートラベルを思い浮かべることでしょう。毎年変わりコレクターにも愛されるムートンのエチケットの始まりは、シャトー元詰めが始まった1924年に遡ります。長い歴史の中で、フランス国内はもちろん国外からも、ミロやピカソ、シャガールといった著名な芸術家たちのアートをラベルに施すなど、世界中の著名人とタッグを組み、その歴史に残していきました。
また、ムートンは自らのシャトーのワインの品質向上や革新にとどまらず、その活躍の場を世界にも広げていきます。カリフォルニアに進出してロバート・モンダヴィ氏とタッグを組んだオーパス・ワンや、1997年にチリのコンチャ・イ・トロと手を取り生み出したアルマヴィヴァはその大きな功績の一端を担っていると言えるでしょう。
シャトー・ムートン・ロートシルト2012 の特徴・評価
ロンドンでムートン・ロートシルトの垂直(同一シャトーの別ヴィンテージ)テイスティングをしたところ、2012年のムートン・ロートシルトは、2009年、2010年のレベルには及ばないにしても、2011年よりも明らかに優れており、2015年が同じようなポテンシャルになるのではないかと予想しています。2012年は明らかに果実味の強さが抜きんでていました。 色合いは、コントラストが如何ばかりか他のヴィンテージに比べて上がったように見えました。 香りは非常に派手で、初期には純粋なブラックチェリー、グラファイト、冷たい石板のような香りが漂い、その後、数か月前にブラインドでテイスティングしたときにも感じた磯の香りが感じられます。 味わいは美しくバランスが取れており、素晴らしい活力があります。 これは、決して手放してはならないムートンです。快活で、鮮やかで、素晴らしい凝縮感と、非常に印象的なフィニッシュの粘り強さでワインの輪郭が描かれています。 このムートン・ロートシルトを過小評価するにはまだ早く、瓶内で熟成するにつれてまだまだこれから良くなっていくでしょう。
ワイン・アドヴォケイト:96点
飲み頃:2025 - 2050
最終試飲日:2017/2/1
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